天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会(てんのうはい JFA だい103かいぜんにほんサッカーせんしゅけんたいかい、英: Emperor's Cup JFA 99th Japan Football Championship)は2023年(令和5年)5月20日から12月9日まで開催された天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会。
概要
2022年12月20日に日本サッカー協会がマッチスケジュール並びにアマチュアシードについて発表された。
なお、今大会は、カタールで行われることになっているAFCアジアカップ2023の日程が2022年12月20日の時点で未確定となっていたため、準決勝と決勝の日程は調整中とされたが、決勝を2023年12月9日に国立競技場で開催することが2023年3月9日に発表された。
日程
2023年3月9日に公表された日程に基づく。2回戦から準々決勝までは全て平日(水曜日)に開催される。
出場チーム
以下の「出場回数」についてはJFAの公式記録に基づくが、基本的には「前身となるチーム(クラブ化前の実業団チーム、など)からの通算回数」としている。ただし、一部に例外もある。
J1リーグ
2023年のJ1リーグ所属の全18チーム。
J2リーグ
2023年のJ2リーグ所属の全22チーム。
アマチュアシードチーム
日本フットボールリーグ(JFL)が選出する1チーム
都道府県代表
出場回数に関する備考
試合結果
ラウンド16までの対戦カードおよび2回戦までの日程・試合会場は2023年3月22日に発表された。
1回戦
2回戦
3回戦
ラウンド16(4回戦)
準々決勝
準々決勝以降の組み合わせの抽選は、2023年8月4日に行われ、日本サッカー協会の公式YouTubeチャンネル「JFA TV」で生配信された。
組み合わせ抽選においては「準々決勝までは下位カテゴリーのチームにホームゲーム開催権が優先される」という規定から、唯一J2勢で勝ち残ったロアッソ熊本が準々決勝でホームとなることを確約させるため、以下の方式で行われた。
- No.81ホーム→No.81アウェー→No.82ホーム→…の順にトーナメントポジションに1から8の番号を割り当て、ポットAに番号を記す。
- まず、1・3・5・7の番号の書かれたカプセルの入ったポットAを抽選し、熊本のトーナメントポジションを決定する (これにより、熊本は準々決勝で必ずホーム側となる)。
- ポットAに2・4・6・8のカプセルを、ポットBに残りの7チームの書かれたカプセルをそれぞれ入れ、ポットA→ポットBの順に抽選して残りのチームのトーナメントポジションを決定する。
ドロワーは日本サッカー協会天皇杯実施委員会委員長の中野雄二、ゲストドロワーとして元日本代表の名波浩と前田遼一が参加。進行役はフリーアナウンサーの高木聖佳。
準決勝
決勝
決勝に駒を進めたのは、初の決勝進出を目指した福岡を技術の差で上回って押し込み、4得点で快勝した川崎 と、J2勢2年連続決勝進出を目指して快進撃を続けた熊本相手に前線からのプレスで圧倒し完勝した柏 の対戦。川崎は第100回大会以来3大会ぶり、柏は第92回大会以来11大会ぶりの決勝進出で、共にJリーグ発足後3回目の決勝進出で2回目の優勝を目指す。関東勢同士の対戦ということもあって、国立には天皇杯決勝史上最多観客動員となる62,837人の観衆を集めた。
試合は開始直後から高い位置からプレスをかけDF立田悠悟やMF椎橋慧也が前線のFW細谷真大にボールを送る柏が試合を優位に進め、前半は柏のシュート11本に対し、川崎は後半40分のMF瀬古樹のシュート1本のみに終わる。
後半も柏が攻勢に出る一方で川崎も徐々に相手に決定機を作らせない戦いとなっていった が、68分(後半23分)に自陣のクリアボールを柏FWマテウス・サヴィオが前線に送ると、これに反応した柏FW細谷が抜けだし、川崎DF大南拓磨のブロックにも倒れずゴール前に迫るが、川崎GKチョン・ソンリョンにクリアされて決定機ならず。その後も大きなチャンスは生まれず、試合はスコアレスでのまま2大会連続の延長戦にもつれ込む。
延長戦に入ると、延長戦前半9分には柏DF片山瑛一のヘディングクリアに反応した柏FW細谷が川崎DFと入れ替わって決定機を作るも、シュートは川崎GKチョン・ソンリョンのブロックに逢い、逆に延長後半13分には川崎DF山根視来のクロスに途中出場の川崎FWバフェティンビ・ゴミスが強烈なヘディングシュートを放つも柏GK松本健太のファインセーブに逢い得点ならず。試合はスコアレスのまま終わり、天皇杯決勝では2大会連続3度目のPK戦へともつれこむ。
両軍3人目まで決め、後攻の柏4人目MF仙頭啓矢のキックは左ポストに阻まれる が、直後の川崎5人目FWゴミスのキックを柏GK松本がセーブし、PK戦もサドンデスへともつれ込む。川崎6人目DF登里享平のキックは柏GK松本が再びセーブするも、柏6人目DF片山のキックはクロスバーに跳ね返され決着ならず。そのまま9人目まで両者が成功させ、柏DF古賀太陽の負傷による両者申し合わせにより 1巡目の最後となる10人目、川崎GKチョン・ソンリョンのキックが右上に決まった一方で、柏GK松本のキックがチョン・ソンリョンに阻まれ、天皇杯決勝としては最長となる10人目のPK で川崎が3年ぶり2度目の優勝を果たした。
サポーターによる問題行為
今大会では、サポーターによる問題行為が相次いで生じ、JFA天皇杯実施委員長の中野雄二が準々決勝抽選の際の挨拶の中で「こういうことに対しては遺憾の気持ちでいっぱい」「大会を主催する側としても警備がどうだったか、会場がどうだったかの検討課題はある」「今後このようなことが起きないよう、みんなで協力して安心で安全な試合会場を作っていくことをお願いしたい」と言及するに至った。
- 3回戦【71】FC東京 vs 東京ヴェルディ(味の素スタジアム)
- 12年ぶりの東京ダービーとなったこの試合において、FC東京のサポーターが持ち込みを禁止されている火薬類(ロケット花火や発煙筒など)をスタジアム内に持ち込んで試合前に気勢を上げ、さらにはスタジアム近隣の飛田給駅前にあるゼビオ(東京Vの親会社)の看板に張り紙や生卵をぶつけるなどの器物損壊行為を行うなど、サポーターの暴走行為があったことが報告された。
- これについて、FC東京はJFAによる処分が決定されるまでの暫定措置として、火薬類使用を行ったことが確認された3名と、器物損壊を行ったことが確認された4名について、FC東京が関連する試合への無期限入場禁止措置を行っている。その後JFAは試合運営管理規定違反として7月18日付けで火薬類を持ち込み使用した4名に対して日本国内で行われる全てのサッカーの試合(JFA主催試合及びJリーグ・各連盟主催試合)への無期限入場禁止に処すことを決定した。なお、汚損された看板については両クラブの協議の上で東京V関係者が清掃を行っている。
- 一方、FC東京に対してはJFA規律委員会において懲罰の審議が行われ、FC東京に天皇杯試合運営要項第30条第1項(参加チームが、自チームのサポーターに対して、試合の前後及び試合中において秩序ある適切な態度を保持するよう努める義務)に違反する行為があったとして、9月1日付けでFC東京に譴責(始末書の提出)及び罰金500万円の処分を科すことを決定した。
- ラウンド16【74】名古屋グランパス vs 浦和レッズ(CSアセット港サッカー場)
- この試合終了後、ゴール裏で土田尚史スポーツダイレクター、西野努テクニカルダイレクターと話し合いを行っていた浦和サポーターが、名古屋サポーターからかけられた言葉に激昂し、バックスタンドを経由して緩衝帯を突破して名古屋側への侵入を試み、さらにはピッチに降りるなどした結果、約100名の浦和サポーターが名古屋側に侵入して名古屋サポーターに詰め寄り、名古屋の横断幕を外すなどの行為に及び、警察官と消防隊員が出動する騒ぎとなった。
- これについて、浦和は、立ち入り禁止エリアへの侵入を主導したサポーター31名を9試合の入場禁止、サポーター団体を統轄するリーダー1名を16試合の入場禁止、実際に立ち入り禁止エリアに侵入したサポーター45名を厳重注意処分とした。なお、この処分については、過去のJリーグクラブの処分内容に比べて甘いとの声が多かったものの、浦和関係者は「日本サッカー協会、Jリーグが作ったガイドラインに則り処分を決定した」「収束後に関係者で集まり行った事実確認において、暴力は振るっていないという認識を共有している」と説明していた が、JFA会長の田嶋幸三は8月9日に行われた記者対応で「それ(暴力)に相当するものがあるということは(報告が)上がってきている」と、浦和側の事実認定に齟齬があることをうかがわせるコメントを残している。その後、8月10日にJFAによる映像を用いた事実確認の結果、警備員を押し倒したり名古屋サポーターの胸ぐらをつかむなどの暴力行為12件、相手ゴール裏付近での威嚇行為6件、緩衝柵を破壊するなどの行為12件などが確認され、該当者25名程度の処分についてはJFAの最終決定に委ねる方針を示した。
- JFAは8月31日に臨時の理事会を開いてこの事件を審議し、同日時点でフィールドへの侵入行為・暴力行為・迷惑危険行為・破壊行為を行ったことが確認された17名(全員が浦和の独自処分対象に該当)を日本国内で行われる全てのサッカーの試合(JFA主催試合及びJリーグ・各連盟主催試合)への無期限入場禁止に、掲出不可エリアへの横断幕掲出を行った1名を5試合の入場禁止処分に処すことを決定した上で、クラブへの懲罰は別途JFA規律委員会で決定することを発表した。加えて浦和は同日、JFAにより無期限入場禁止処分となった17名について、国内外を問わず浦和が出場する全試合への無期限入場禁止処分に処すことを決定した。
- クラブに対しては、JFAが2023年9月19日付の規律委員会決定事項として、浦和に対して次年度大会である「天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会」への参加資格剥奪と譴責(始末書の提出)の処分を公表した。
脚注
注記
出典
外部リンク
- 天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会(日本サッカー協会)




